短編映画さながら映し出すMCが、渋みの効いた煙たいフロウで多彩な音像をまとめ上げ、遂に帰ってきた。1st album『Everything is Possible』(2011)から進化を遂げた音楽性。プロデューサー陣は、絶妙の相性をみせるメロディアスなJZO、濃厚な夜の気配漂うYAGI（Bright Blow）、繊細な詩情を醸すNaomi Ishimatsu、ヘビーでストイックなDJ FAL、そしてダビーなエッセンスを持つDJ SUGI。ひと夜の物語、孤独な時間、夏のひととき、街の雑踏……様々なトーン・色彩を見せるビーツにCHILLTORAの映像的なリリックスが乗り、聴き手はそれぞれのシーンへと飛ばされる。自身の等身大の生活を表現しながら、どこかファンタジックな異世界との交流を感じさせる感性。それはアルバムのアートワークのように想像力を刺激するだろう。ハイライトは、MCの夜をポエティックな物語とダブらせる#8 蒼い満月、ディープな世界へ引きずり込む#10 DUB、熱を帯びるライブ定番曲#11 NISHIBI。そしてやがて終盤、セルフプロデュース曲#14 夜ノ森に至ったとき、そこに静かに表現された独りの男の姿が胸に沁みる。すべての表現の芯にあるのは、ブレない強さと、地道にやり抜くタフネス。昨今では少なくなった、ヒップホップに音楽を取り戻す一枚。CHILLTORAセカンドアルバム「十三ノ月」待望のリリース！
CHILLTORA "十三ノ月"
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